日本人との結婚で簡易帰化になるケース
普通帰化の対象者
普通帰化は一般的な外国人の方が帰化する際に適用される帰化です。
つまり、普通帰化は「特別永住者」や「日本人と結婚している外国人」を除いたすべての外国人が対象になります。
言い換えれば、独身の外国人の方、外国人同士で結婚している方が対象になります。
帰化は「日本人と結婚しているかいないか」で要件が変わる
普通帰化は「日本人と結婚している外国人」には適用されないということを上で述べましたね。
大きく分けて日本人と結婚しているかどうかで要件が変わります。
日本人との結婚で変わる帰化申請の種類
日本人と結婚してない ➡ 普通帰化
日本人と結婚している ➡ 簡易帰化
簡単に説明すればこのようになります。
簡易帰化という言葉は以前の「帰化とは?~3つの種類の帰化~」という記事でご紹介しましたね。簡易帰化は普通帰化と比べ、要件が緩和されます。ちょっと思い出してみてください。
なぜ日本人と結婚していると普通帰化でなくなるの?
これはどういうことでしょうか?
答えは、もしあなたが帰化を望んでおり、既に日本人の相手と結婚もしていたなら、普通帰化ではなく、簡易帰化が適用される可能性があるためです。
そのため普通帰化ではなく、要件が低い簡易帰化の要件を満たすだけで帰化申請が可能となる場合があります。
簡易帰化の対象者
では、簡易帰化の対象者となるケースをここでもう一度おさらいしておきましょう。
簡易帰化の対象となるケース
- 日本国民であった者の子で、引き続き3年以上日本に住所・居所を有する人
- 日本で生まれたもので引き続き3年以上日本に住所・居所を有し、またはその父か母が日本で生まれた人(養父母は除く)
- 引き続き10年以上日本に居所を有する人
- 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所・居所を有し、かつ、現に日本に住所を有する人
- 日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有する人
- 日本国民の子で日本に住所を有する人(養子を除く)
- 日本国民の養子で、引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組時未成年であった人
- 日本の国籍を失った人(日本に帰化後日本国籍を失った人を除く)で、日本に住所を有する人
- 日本で生まれ、かつ、出生時から国籍を有しない人で、引き続き3年以上日本に住所を有する人
赤字で記した4・5に「日本人と結婚している外国人」は当てはまりますね。
- 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所・居所を有し、かつ、現に日本に住所を有する人
- 日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有する人
このように
4の要件
1)「日本人の配偶者である」
2)「引き続き3年以上日本に住所・居所を有している」
3)「現に日本に住所を有する」
あるいは、
5の要件
1)「日本人の配偶者である」
2)「婚姻の日から3年を経過している」
3)「引き続き1年以上日本に住所を有する」
枠線で囲んである4か5のどちらかの要件をすべて満たせば簡易帰化が適応されます。
簡易帰化は要件が緩和される
何度か紹介し繰り返しになりますがこの簡易帰化は、普通帰化と何が異なるかというと、要件が緩和されハードルが低くなるという点が違います。そのほかにはほとんど変わりません。
日本人と結婚した場合に適用される簡易帰化では、①住居要件 ②能力要件 この2つが緩和されます。その他の要件を満たさなければならないことは普通帰化と同様です。
日本人と結婚している場合の要件緩和
- 住居要件 ←【3年】または【1年】
- 能力要件 ← 20歳未満でも可
- 素行要件
- 生計要件
- 喪失要件
- 思想要件
- 日本語能力要件
日本人と結婚してることで緩和される内容
① 住居要件の緩和
比較のため、普通帰化の「住居要件」を見てみましょう。
”普通帰化の住居要件”
- 5年以上引き続き日本に居住していること
- 5年のうち3年以上は就労可能な在留資格で就労していること
次に4の場合の要件を見てみましょう。
4の要件
1)「日本人の配偶者である」
2)「引き続き3年以上日本に住所・居所を有している」
3)「現に日本に住所を有する」
こちらは普通帰化の要件から大幅に緩和されていることがわかりますね。
② 能力要件の緩和
②の能力要件とは年齢に関するものでした。
普通帰化の場合、20歳以上でなければ申請が認められないという内容でしたね。(家族で帰化申請する場合の子どもを除く)。
日本人と結婚していれば20歳未満でも帰化申請が可能となります。
これには特段の説明はいりませんね。
その他の要件などについて
その他の要件などについても若干のちがいがあるのでチェックしましょう。
就労経験
日本人と結婚している外国人の方の就労経験は問われません。なくても大丈夫です。
年金
厚生年金に加入してる日本人と結婚している。加えて、扶養も受けている外国人の方は本人には支払い義務はありません。逆に、日本人の配偶者が国民年金だったり、扶養を受けていない場合は支払い義務が発生しますのでおさめましょう。
生計要件
日本人と結婚している外国人の方は無職でも問題ありません。主婦/主夫といった感じですね。
そのかわり日本人の配偶者である夫、あるいは妻が生計要件を満たしている必要があります。
帰化は家族全員でしなければいけないの?
結論から言えば、帰化は結婚していて子供がいても本人単独で可能です。
そのため、本人だけが帰化をして家族の方は帰化をしないという選択もできます。
夫婦で片方しか帰化の条件を満たしていない場合
もし、家族で帰化を考えていて、夫婦の片方しか帰化の要件を満たしていない場合でも同時に申請して許可になる場合が多く見られます。
言い換えれば、要件を満たしている人の方が帰化をして許可がおりさえすれば、自動的にその配偶者は「日本人の配偶者」という扱いになるからです。
つまり、簡易帰化の要件に適合さえしていれば、帰化が許可される可能性が高くなります。