普通帰化の基本要件 1⃣住居要件~その1~
普通帰化の要件について
前回の記事では、三種類の帰化について紹介しました。
この記事ではそのなかで最も一般的な普通帰化について、その要件とともに詳しく解説していきたいと思います。
まずは普通帰化にはどのような要件を満たす必要があったかおさらいしましょう。
普通帰化 7つの要件
- 住居要件
- 能力要件
- 素行要件
- 生計要件
- 喪失要件
- 思想要件
- 日本語能力要件
これら普通帰化の7つの要件が、帰化全般にわたり最も基本となる要件となります。
これらの要件を基本形として、帰化申請する人それぞれの事情や家族関係、職業などを勘案し、追加の資料を作成、添付したりしなければいけません。つまり、人それぞれ帰化するために必要となる書類は違ってくるということですね。
それでは要件をひとつづつ見ていきましょう。
まずは1⃣住居要件からです。
1⃣住居要件
住居要件は国籍法に規定されている「引き続き5年以上日本に住所を有すること」に該当するかどうかで決まります。つまり、「5年間ずっと日本に住んでいますか?」ということです。ここでいう「引き続き」とは、「5年間途切れることなく連続して日本に住所を有する」という意味になります。
住居要件における「引き続き」の意味
「引き続き」といわれると、5年間のあいだ少しでも出国して海外にいったらダメです!というように聞こえますが、そうではありません。だいたい3か月までなら引き続きとみなします。
たとえば3年間日本にいて、それから1年間外国に帰って、また日本で2年過ごしても、住居要件は満たせません。ですが、3年間日本にいて、それから2か月外国に帰って、また日本で2年過ごす場合は問題なく住居要件を満たしていると考えられます。
また上記に加えて、1年間の合計出国日数が150日を超える場合も連続性が途切れたとみなされます。
「引き続き」の連続性が途切れたと見做されるケース
1度の出国が3か月以上にわたる場合
引き続き5年のカウントがリセットされるかされないかのボーダーラインは1度の出国がおおむね3か月以上にわたる場合になります。1度の出国が3か月以上にわたる場合、途切れたと見做される可能性が高いです。
1年間で合計150日以上日本を出国した場合
たとえば、一年のうち出国が2か月、2か月、2か月、2か月の合計8か月したところ、一度の出国は3か月以下となっており一見カウントはリセットされないようにみえますが、合計で240日出国したことになり、150日をこえています。
こちらも同じように引き続きとみなされない可能性が高くなります。
連続性が途切れたとみなされたら?
連続性が途切れたらどうなるでしょうか?
その場合、その日からまた5年を数えなおします。
たとえば上記の「3年間日本にいて、それから1年間外国に帰る」という例では、一度の出国で3か月を超えてしまいます。そのため、引き続きの連続性が途切れたとみなされます。
ですから外国から帰り、また日本に住み始めてから5年間経過するのを、再び一から待たないといけなくなるのです。
出国する際の日数に気をつけよう
この記事では「住居要件 その1」についてみてきました。この要件は必須のものでありかつ時間がかかるものなので、一度連続性が途切れカウントがリセットされてしますと非常なタイムロスになります。
帰化を考えている方は出国の日数に気をつけて住居要件を確実にみたしていきましょう。
次回は「住居要件その2」についてです。こちらは仕事のお話になります。