活動系の在留資格と居住系の在留資格
活動系の在留資格と居住系の在留資格
前回の記事では在留資格について簡単にご紹介しました。
それから27種類にも及ぶ(細かく言えばもっと多い)在留資格の名前を一通り見てきましたね。
今回はこの27種類の在留資格を大きく2つに分けて、それぞれの特徴を見ていきましょう。
在留資格は大きく分けて2つのタイプに分けられます。
在留資格を2つに分けると?
- 活動系在留資格
- 居住系在留資格
前回の記事で述べた27種類の在留資格はこの①活動系在留資格か②居住系在留資格のどちらかに当てはまります。
この2つはどの様な点がちがうのでしょうか?
その点について詳しく見ていきましょう。
①活動系在留資格
活動系在留資格とは「日本国内における活動を類型化」したもので、以下の表に記されている在留資格を指します。
法別表 第1 | 活動系在留資格 | 上陸許可 基準の適用 |
---|---|---|
1の表 | 外交・公用・教授・芸術・宗教・報道 | なし |
2の表 | 高度専門職・「経営・管理」・「法律・会計業務」・医療・研究・教育 「技術・人文知識・国際業務」・企業内転勤・介護・興行・技能・特定技能・技能実習 | あり |
3の表 | 文化活動・短期滞在 | なし |
4の表 | 留学・研修・家族滞在 | あり |
5の表 | 特定活動 | 個別 |
この活動系の在留資格は、
- 収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を類型化したもの・収入や報酬を受ける活動でないもの。
- 上陸許可基準の適用があるもの・ないもの。
以上の分類で分けられています。(「上陸許可基準」については別記事で紹介しますのでご覧ください。)
就労が前提となる在留資格でも、在留資格に定められた就労活動以外の就労活動(継続的な仕事として収入・報酬を受ける活動)を行うことは原則禁止されています。
この活動系資格は、原則、就労を禁止されている「留学」・「家族滞在」・「研修」・「文化活動」・「短期滞在」・「特定活動」などの在留資格も含んでいます。
資格外活動許可について
原則就労を禁止されている「留学」・「家族滞在」・「研修」・「文化活動」・「短期滞在」・「特定活動」の在留資格ですが、このうち「留学」と「家族滞在」の在留資格は入管で「資格外活動許可」というものを申請し、取得すれば週28時間までのアルバイトをすることが認められます。
もし、在留資格で決められている活動以外の仕事として収入や報酬を受ける活動をしたい場合は、この「資格外活動許可」を入管で受ける必要があります。(「資格外活動許可」については別の記事で詳しく紹介します。)
風俗系のお店での就労は禁止されています
ただし、週28時間までのアルバイトが可能とはいっても、風俗系の仕事やお店での勤務はできませんので注意が必要です。
風俗系の仕事にはスナックのホステスや、ラブホテル・パチンコ店・マージャン店、性風俗店での勤務などがあります。
資格外活動許可をとってこれらの仕事、アルバイトをすることは禁止されています。
就労系在留資格の取り消し期間
また、活動系在留資格では、それぞれの在留資格で定められている活動を継続して3か月以上行っていない場合、在留資格取り消しの対象となりますので注意が必要です。こちらは居住系の資格とは異なり、「3か月以上行っていない場合」という短い期間になっています。
②居住系在留資格
居住系在留資格は「身分若しくは地位を有する者としての活動」に基礎づけられる、以下の表に記されているものです。
法別表第2 地位等類型資格 |
---|
永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者 |
これらは、その在留資格としての身分または地位を持っているだけでなく「その身分、地位を有する者としての活動を行う者」である必要があるとされています。
この「身分もしくは地位を有する者としての活動」とはどういうことなのでしょうか?
下記の例を見てみましょう。
たとえば「日本人の配偶者等」の在留資格だったら?
ここでは「日本人の配偶者等」という在留資格を例に挙げて考えてみましょう。
「日本人の配偶者等」の在留資格における、「その身分を有する者としての活動」は、「日本人と婚姻関係にあり、実際に同居して生活していること」が挙げられます。
このような活動の実態をもって、身分を有する者としての活動を行う者であるといえます。
つまり、日本人と結婚していて同居し、実際に夫婦生活を営んでいるということが必要となります。
そのため、婚姻状態にあっても、関係が悪化し別居などをしていて、これ以上婚姻生活の実態が回復できないと認められるような状態であれば、活動の実態がないとみなされ、「日本人の配偶者等」の在留資格に該当しないとみなされる可能性があります。
そして、そのようにみなされれば「日本人の配偶者等」としての在留資格は許可されなくなるのです。
このように、居住系の在留資格では各在留資格で定められている「身分や地位を有する者としての活動」を行う者であることが求められています。
ただ単に、在留資格に該当する身分や地位を有しているだけではダメです。加えて、「日本人の配偶者等」・「永住者の配偶者等」・「定住者」在留資格で定められている「身分、地位を有する者としての活動」を行うことが必要とされます。
具体的な活動の内容についてはそれぞれの在留資格の記事をご覧ください。
(※「永住者」の在留資格は例外で、「身分・地位を有する者としての活動」は定められていません。)
居住系在留資格は職種や勤務時間に制限はない
居住系資格の場合、仕事の種類や勤務時間は特に制限なくすることができます。
そのため、ここで取りあげた居住系在留資格の方は、在留資格ごとに定められている活動以外の収入・報酬を得る活動の際に必要となる「資格外活動許可」はいりません。
また、居住系の在留資格は活動系の資格で一律に禁止されていた風俗系の仕事も日本人と同様にすることが可能です。
(風俗系の職業とは、営業に風俗営業許可の取得や届出が必要となる店舗での勤務を指します。たとえばスナックやキャバレーのホステス。ラブホテルのフロント、清掃。パチンコ店・マージャン店での勤務など)。
居住系在留資格の取り消し期間
居住系在留資格では、その配偶者等としての活動を継続して6か月以上行っていない場合、取り消しの対象となるので注意が必要です。こちらは活動系在留資格とは異なり、「6か月以上行っていない場合」となっています。