家族滞在ビザ【扶養を受ける者】と社会保険の被扶養者

家族滞在ビザ【扶養を受ける者】と社会保険の被扶養者
家族滞在ビザ(Dependent)は、就労ビザ等ですでに日本に在留している外国人の方の家族を日本に呼び寄せ、一緒に生活する際に必要となるビザです。
家族滞在ビザの対象は、就労ビザ等で在留する外国人の方の配偶者または子になります。
家族滞在ビザの要点は扶養に入ること
英語でDependentとは「扶養されている」という意味となる通り、家族滞在ビザには呼び寄せた家族が、就労ビザで在留する外国人の夫または妻の扶養に入ることが基本的な条件となります。
扶養とは「主たる収入者である家計のもと、生計を一つにすること」を言います。扶養することで税制上の控除や、被扶養者は社会保険料を納めることなく健康保険と年金制度に加入できるなどのメリットもあります。
家族滞在ビザで重要なポイントとして、扶養する側である就労ビザで在留する夫または妻が雇用されている場合は社会保険へ加入して、しっかりと社会保険料を納付していることが家族滞在ビザ許可への重要な判断材料となります。

勤務先の社会保険に加入してしっかり健康保険と年金を納付していることが大事なんですね。
社会保険・税制度上の被扶養者
家族滞在ビザは、就労が許可されない非就労系在留資格ですが、資格外活動許可を受ければ、1週間で28時間以内までのアルバイトをすることができます。アルバイトをする場合、収入が社会保険制度や税制上の被扶養者である範囲から超えないことも重要となってきます。
日本では扶養に入る条件として制限が設けられており、①週の所定労働時間が20時間以上 ②月額賃金が8.8万円以上 ③2か月を超える雇用の見込みがある、などの条件を超えてしまう場合には、扶養から外れ社会保険に加入せねばならないケースが出てきます。年収が130万円を超えてくると扶養から外れてしまいます。
また家族滞在ビザは、就労ビザ等で在留する外国人の夫または妻に紐づいた在留資格となるため、仮に就労系ビザから他のビザへ変更許可申請した場合には、扶養ができなくなるので家族滞在ビザは許可されなくなってしまいます。



配偶者の就労ビザもしっかり更新できるようにしないといけないのですね!
加えて、就労ビザで在留する外国人の夫または妻に家族滞在ビザでの在留を希望する配偶者または子を扶養する意思と実際の扶養能力(収入・資産)などがあるかどうかも重要な判断材料になります。
扶養を受ける者の具体的な条件
入管が家族滞在ビザ許可に設けている重要な要件である【扶養を受ける者】とは実際にどのような条件なのでしょうか。具体的には以下の通りとなります。
- 扶養者に経済的に依存している
- 扶養者と同居している
扶養者に経済的に依存している
家族滞在ビザの扶養を受ける者という条件に該当するためには、扶養者に経済的に依存していることが必要です。



普通のアルバイトをする場合はどうかな?
扶養に入りながら資格外活動許可を得て、1週間28時間上限のアルバイトをするケースで考えてみましょう。時給が1200円のアルバイトで1週間28時間働いた場合、およそ月額14万〜15万円の収入となります。
このようなケースであれば、自身で調整すれば税制や社会保険制度上の被扶養者からも外れなく特に問題はなさそうです。



時給がすごく高い場合は扶養に入るという条件からはずれるのかな?
家族滞在ビザで在留する外国人の方の時給が5000円だった場合はどうなるでしょうか?1週間で28時間を上限として1ヶ月働いた場合、月収は60万以上となります。この場合は常識的に考えて扶養から外れてしまいそうです。
ですが入管側が提示する条件である【扶養を受ける者】という言葉のニュアンスは、税制上や社会保険制度上の意味合いではなく、生活実態として経済的に依存して扶養を受ける者という意味となります。
そのため、社会保険や税制上の被扶養者である必要はありません。
主に生活費の負担割合で、どちらが多くの割合で負担しているかで考えるとわかりやすいかもしれません。
配偶者の方が仮に資格外活動許可の範囲内で高額な時給を得ていたとしても、実際により高額な月収を得て、生活費のより多くの割合を負担する就労ビザの夫か妻に扶養されていれば、家族滞在ビザが許可される可能性はあります。
扶養者と同居している
経済的な依存に加え、扶養者と同じ家に住み同居することが、扶養を受ける者とされる条件の一つとなります。



夫と同居することが意外と重要なのね。どうしてかな?
家計のうちでも家賃は大きな割合を占めるものと考えられます。そのため、家族滞在ビザの条件として、同居することが「扶養者の家計のもと、生計を一つにする」という扶養の定義の前提となるためです。
また、扶養を受ける者である配偶者が自身で別の部屋を借りて家賃を支払っている場合、自立した経済活動を行っていると見做されるのに十分な理由となり、扶養を受ける者という定義から外れてしまいます。



さっきの「経済的な依存」という扶養を受ける者の条件からも外れてしまうんだね。
また、自身の子どもを家族滞在ビザで在留させる場合にも、扶養者の監護養育を受けるという前提がありますので、この同居という条件が重要となってきます。