典型的な簡易帰化のケース② ~在日韓国人・朝鮮人の特別永住者の帰化要件~
在日韓国人・朝鮮人の方の帰化要件
日本人と結婚している外国の方は帰化の要件が緩和されることを前回記事で紹介しました。
「普通帰化」と異なり、要件が緩和される帰化を「簡易帰化」といいましたね。
この簡易帰化のもうひとつの典型的な例として、
「在日韓国人・朝鮮人の方」が帰化申請する際に適用されるケースがあります。
在日韓国人・朝鮮人 簡易帰化の典型的なパターン
簡易帰化が適用される9つのケースがありましたね。
その2番目と3番目に挙げられていたケースが在日韓国人・朝鮮人の方が帰化する際に適用されることが多いものです。
どのような要件だったか確認してみましょう。
簡易帰化2号・3号
- 日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所・居所を有し、またはその父か母(養父母を除く)が日本で生まれた人(で現に日本に住所を有する者)
- 引き続き10年以上日本に居所を有する人
以上の2つが在日の方が帰化をする際に適用できる典型的な簡易帰化のケースです。
次に、どのように要件が緩和されているか見ていきましょう。
住居要件の緩和
この2のケースでは住居要件が5年→3年に緩和されているのがわかります。
3のケースでは、引き続き10年と長い居住歴が求められています。ですが、その他の要件はいりません。
仮に2に該当しなくても3に該当しさえすれば帰化申請が可能です。
父か母が日本で出生なら住居要件なし
加えて、両親のどちらかが日本で生まれていれば住居要件は不要です。現在日本に住所があれば帰化申請ができます。
一般の外国人が3のケースで簡易帰化する場合
一般の外国人の方が3のケースで帰化申請する場合は、①「10年以上日本に居住」しており、加えて②「在留資格を得て1年以上の就労経験」。つまりこれらを満たせば3のケースの簡易帰化ができます。
- 10年以上日本に居住
- 在留資格を得て1年以上の就労経験
→ 3の簡易帰化が可能となる。
帰化許可の出やすい傾向
また、これは厳密には要件の緩和というわけではないのですが、ご参考に。
2に該当する在日韓国人・朝鮮人の方は帰化許可が出やすい傾向があります。
まず、在日韓国人・朝鮮人と呼ばれる方は「日本に住んでいる韓国籍・朝鮮籍の方々」のことを指します。
そのなかで、上記の簡易帰化の2のケースに該当する日本生まれの韓国籍・朝鮮籍の特別永住者の方は特に帰化を申請すれば、よほどのこと(重大な犯罪歴等)がない限り帰化許可が下ります。
在日、特別永住者の兵役義務について
よく在日の方から兵役義務が終わっていないので帰化できませんかという質問があります。
答えは、日本で生まれた在日、特別永住者の方は、国籍が韓国・朝鮮であったとしても兵役義務はありません。そのため、帰化の申請ができますのでだいじょうぶです。
その他に満たす必要のある要件
簡易帰化の2と3のケースに当てはまる方は、普通帰化で求められる5年の住居要件が緩和されていましたね。
そのため先ほど見た住居要件がクリアできれば、ほかに満たすべき帰化要件は①能力要件、②素行要件、③生計要件、④喪失要件、⑤思想要件、加えて⑥日本語能力要件の6つとなります。
- 能力要件
- 素行要件
- 生計要件
- 喪失要件
- 思想要件
- 日本語能力要件
これらについては普通帰化の要件でひとつづつ解説していますので、こちらの記事をご参照くださいね。